ケータイ小説

 最近ケータイ小説の話題が盛り上がっていますね。
 賞金200万円の作品 あたし彼女(kiki著)
http://nkst.jp/vote2/novel.php?auther=20080001
 瀬戸内寂聴さんが書いた作品 あしたの虹(ぱーぷる著)
http://no-ichigo.jp/read/book/book_id/89873


 同じケータイ小説の分類でありながら、全く異なる作品ですね。


 あしたの虹はプロ作家が書いたものだけあって筋道はしっかりしていて、描写に力があります。
 こちらは書籍化されました。
 これ以降、書籍化を狙ったプロやプロ志望が参入するきっかけになるかもしれませんね。


 あたし彼女はケータイにぴったりの小説です。
 本と比べて読み返しにくいケータイでは、読者の記憶に頼るところが大きいわけです。
 人間新しいものを三つまでしか同時に覚えられないといいますが、この小説ではおおよそ別れの予感をおさえておけばだいたいストーリーを覚えられます。
 主人公の変化、弱気、不安や喜びの独白など、読者が主人公に入れ込みやすい要素が織り込まれてしかもそれほど記憶を必要としません。
 こちらはそのまま書籍化は難しいと思うので、先にあげたプロやプロ志望の作品とはバッティングしないと思います。


 両方とも楽しめました。
 あたし彼女の文体にはびっくりしましたけど。

瀬戸内さんが書いた理由

http://books.mainichi.co.jp/2008/09/post-d798.html
(以下転載)

 瀬戸内 ケータイ小説については日本語をだめにする、文学ではないなど、悪口ばかりを聞きました。でも非常に売れている。知らなきゃ何も言えないと思い、読みました。これなら売れるなと小説家として思いました。さらに「これなら書ける」と思ったのが書き始めたきっかけです。何でも私は自分の手で触らないと信じないんです。


 瀬戸内 私の場合はまず原稿を普通に縦書きで書き、それを横書きに直すんです。直す時に若い人たちの意見を聞きました。「こんな言葉は今使わない」などいろいろ言ってくれる。それをみんな受け入れて直した。すると直すほどよくなる。長い文章の語尾も全部取りました。


 瀬戸内 初めは面白くてワクワクして書いていましたが、真ん中あたりがつらかった。これでいいのかという気持ちと、もっと他の小説を書いた方がましじゃないかなどと考えて。終わりの方はさっとできた。藤原さんが、ケータイ小説には大人が出てこないと言われていた。家族が登場しても、何があっても知らん顔。娘がレイプされても親は知らない。そんなことはありえないでしょう。それが若い子たちの世界なんですよ。私はどうしても親が出てくる。おばあちゃんまで出てくる。


 瀬戸内 自分が犯した罪に対して反省がないという風潮があると思うんです。そこは悔い改めてほしいという気がありました。「あしたの虹」は「源氏物語」を下敷きにして、光源氏藤壺と間違いを犯す部分を使っています。光源氏はあまり後悔していないですね。やっぱり悪いことしたら、悪かったと思わなければいけない。それで男性主人公のヒカルに、「悪いことをしたから幸せになってはいけない」と言わせました。

 かなり手間がかかっているんですね。自分で書いた文章を翻訳しているみたいです。

ノベつく

http://www.nvtk.jp/
 ゲームブックのような選択肢を作ることが出来るケータイ専用の投稿サイトです。
 こういうところから書籍化できるとゲームブックにも新たな道が開けるんですけどねー。
 わりと高機能だと思うのですが、どういうわけか1ページの作品が増えて、手間かけたボリュームのある作品が新着からどんどん消えちゃっています。
 最初に取り上げた野いちごとも客層が違うようですね。