トラジック・フレーバー

 悲劇の要素です。現実と向き合い最善を尽くす人物の悲劇を浮き簿りします。次のような特徴が見られます。

    • 救済の致命的に不足している
    • プレマイズ(前提)が絶対支配的である
    • 展開に関わらず、最初と結末の状況が同じである
    • 感情豊かで共感できる主人公
    • 登場人物のほとんどが善人 よかれと思ったことが次々と裏目に出て、ふつうのまともな人物や状況が否応なくその弱点をさらさざるをえなくなり、ついには誰も望まない結末にもつれこむ
  • 分類
    • 別離型 愛するものとの別れ
    • 不屈型 社会的に受け入れられない中で、人間の尊厳と自由を求めて孤独に闘い続ける
    • 受難型 悲劇的な結末を知りながら、主人公が自らその道を選び取る自己犠牲的な物語であり、周囲はこれを止めたいと思いながらも、むしろ結果としてその準備に手を貸してしまうシチュエイション・トラジェディ(状況悲劇)
  • シチュエイション・トラジェディの特徴
    • 心底からの悪人がいない その人物さえいなかったらと観客に思われてしまい、話が薄っぺらになってしまう
    • 人間的な弱点を持たないスーパーヒーローを置かない 観客はその人物にすべての問題の解決を求めてしまい、失敗が悲劇ではなく失望になってしまう

 ゲームブックに悲劇は向いていない(おそらくゲームの部分で向いていない)と思いますが、創作の参考になると思います。
 このほかにもロマンティック・フレーバー*1やエロティック・フレーバー*2がありました。ロマンは目指すものであり、エロスは追いかけるものであるような印象を受けました。

*1:理性に反し、必要ではないがどうしてもやらざるをえない情熱

*2:異性間のロマンティックなやり取りの省かれた妄想や自己投影