洋魂和才

 ところで映画「千と千尋の神隠し」は、驚くほど魔法物語のつくりに近いものがある。たとえば

  • 黄泉の国に行き、そこから帰ってくる
  • 主人公は魔女に所有されてしまう
  • 主人公は最後に両親を見分ける

というところである。
千と千尋の神隠し」は外国でも好評で、この作品はベルリン映画祭金熊賞やアカデミー長編アニメ部門グランプリなどを獲得している。
千と千尋の神隠し」と「もののけ姫」を比較して、欧米人にとって前者のほうがはるかにわかりやすい内容だったのだろう。舞台や小道具を和風にアレンジした欧風昔話と捉えられていたかもしれない。
 宮崎駿氏が何を考えて作ったのかわからないし、本人も(いつものように)忘れたととぼけるだろうが、この「実験」の成果は注目に値する。「海外にソフトを売る」ということは、こういうことを指すのだろう。