起承転結
週刊ポスト2004年4月2日号
大石静エッセイ ヤヤもすればヨヨと泣く より
私の師匠に、宮川一郎先生という脚本家がいる。(略)
その師匠がずっと昔、私に言った。(略)
「ドラマを書く時、起承転結はいらない。次に見たいシーンは何か? それだけ考えろ。そうすれば起承転結はおのずと出来る」
具体的に言うと、夫婦がケンカし、夫が家を飛び出した。その次のシーンは、取り残された妻の顔が見たいか、出て行った夫が街を憤然とある姿が見たいか、両親のケンカを自室で聞いていた子供の顔が見たいか、ぜんぜん関係なくのどかにカラオケ歌っている夫の愛人の顔が見たいか……? そのことを考えろということだ。(略)
場面場面を必死に生きている人間の瞬発力こそ、生きとし生けるものの輝きであり、そういう意味で、師匠の教えは偉大だ。
なんか役にたちそうなのでメモ。
「次に見たいシーン」を選択させるゲームブックってのもアリだろう。脚本家の長坂秀佳氏*1がゲームブックを見てインスピレーションを受けたのは、こういうところなのかもしれない。