福祉ネットワーク シリーズ ネット依存 回復への道のり

 ネット依存から回復した17歳の少年から話を聞き、ネット依存からどう回復するか考える、という内容である。
 彼は中学二年生から三年生にかけての一年間、オンラインゲームにハマっていた。仮想世界のコミュニケーションは現実世界のコミュニケーションより楽で、コミュニケーションが苦手で不登校になっていた彼にとって、心地いいものだった。
 ただ彼はオンラインゲームにハマりつつも、高校受験を望んでいた。そこで通っていたフリースクールの先生に助けを求めた。
恩師は彼からネットについて教えてもらうことにした。恩師は彼の置かれている環境をだんだんと理解していった。彼はネットの中に居場所を見つけている。それを安易に取り上げてしまうことが社会性の抹殺につながってしまう。
 彼はこう語る。ハマっている人が、ネット依存から抜け出したいというタイミングがやってきたときに、周りにいる人間がどうか支えてやって欲しい、と。
 彼の恩師であり、フリースクールの先生でもある牟田氏は、ネット依存になりやすい傾向のある人を四つに分けた。

人間関係つまづき型

周囲との人間関係に疲れて、より楽なコミュニケーションができる仮想世界に入っていった。不安感を持っている。
対処法
 →無理に禁止しない(居場所を奪わない)。
 →共通の話題を見つけ話し合う。

勉強嫌い型

勉強が嫌い。退学傾向がある。現実世界にも仮想世界にも友人がいて、人間関係に問題がない。
対処法
 →本人と親が話し合って、徐々に規制を決めていく。余力は現実世界に振り分けられるので問題ない。

現実逃避型

ごく普通の人間だが、人間関係に消極的である。コミュニケーションが楽な仮想世界で、居場所を作ってしまう。人間関係つまづき型よりも、精神的に安定している。
対処法
 →親子で話し合い、規制していく。

享楽型

ゲームが大好き。
対処法
 →厳しく規制する。

 ちなみに「現実の面白さ」なるものは、ネットにハマってる人には届かないようだ。現実社会の何が楽しいのか、大人に説明できるだろうか、と彼は語る。(そりゃそうだろう。現実世界においても、何が面白くて何が面白くないかは、人それぞれ。現実社会に戻ったときに、誰が依存者を支え、依存者がどこに居場所を見つけるか、というのが重要なのではないだろうか。)