ショッカーシークエンス

ショック場面(ショッカーシークエンス)は、そこに至るまでのタメ(観客の注意力を高める静寂)、異物出現のタイミング、そしてそのショック場面と画面内で体験する俳優のリアクションが肝要だ。
ホラー映画におけるショッカー場面は、観客にとって「びっくりする」というサプライズ衝動であって、実際にはそれが「怖さ」ではないにもかかわらず、「そこが怖かった」と最も印象に残すものだ。

 驚きで一瞬にして心が丸裸になってしまうことによって、恐怖を心により深く刻んでしまうのだろう。一種の錯覚というものだろうか。怖さの深部を見せることなく、観客に怖さを感じさせるところに、ホラー物の奥行きを感じた。
 ちなみに著者は、同じくショッカーシークエンスを使うスプラッター物について述べている。その根底は恐怖からではなく、嫌悪から来るものであり、ホラー物と一線を画しているとのことだ。