剣社通信が更新されています。
http://www.soudosha.com/kentu-/kinkyo-.htm
 10日に更新されていまして、気付いていたのですがちょっと見送っていました。
 現時点で、余計なことは書かないほうがいいですよね。ドルアーガ復刊の邪魔をしてはいけないので。
 話題を変えますが、ゲームブックコンテストが再開されるようですね。大事なことが書いてあるので、そのままコピペしておきます。

■ コンテスト再開のお知らせ
魔人竜生誕』は以前開催していた、ゲームブックコンテストに応募していただいた入選作品を商品化したものです。刊行予定ラインに1作品入ったことにより、コンテストは休止しておりましたが、作品刊行と同時にコンテストも再開する予定です。『魔人竜生誕』に添付の「剣社通信」にてお知らせします。

それにあたって、今回、WEB版剣社通信をごらんの熱心なファンのみなさんに前回コンテストの感想を掲載します。そのまま次回のコンテストの審査基準に繋がることですので、応募を真剣に考えられている方は是非お読みください。

第1回ゲームノベルコンテストに応募された作品は全部で7作品でした。入選作品『魔人竜生誕』(応募時タイトルは『魔竜猛将ジーギオン』)が現れた時点、コンテストは終了し、募集もストップ。また、これがかなり募集してからすぐの段階であったため、期間的にも短かった中、数として7本は微妙な数です。しかし、当時はソーサリーもグレイルクエストも全て絶版の状態。ゲームブックブーム自体が下火の中、自ら作ってみたいと思うクリエイター魂をお持ちの方はいた方だろうと思います。

魔人竜生誕』を除く、6作品のうち、実に5作品が双方向ダンジョン探索型のゲームブックでした。そして、全部ダメ。惜しいものもあったんですが、出版を検討するレベルまでにはいかず、悪い部分を指摘した総評を送らせていただきましたが、リライトはされなかったようです。

当時、まだ“萌え”という言葉は一般的ではありませんでしたが、中にはいかにもそちら系のロリキャラをメインに据えた、小説で喩えるなら人気イラストレーターで読者を獲得するだけで、文章記述は三流以下のダメラノベのGB版みたいなものまでありました。入浴シーンを書いて「ここに挿絵を」と指示があったり。作者が最初からイラスト頼みでどうしますか。

別に私は一編集者として、エロや萌えがゲームブックにあってはならないとはさらさら思っていません。むしろ、そういうものも含めて幅は広ければ広いほどいいに決まっています。先日、ゲームメーカーの方から連絡をいただきまして、18禁PCゲーム「サバエノオウ」(ゲームブックテイストのコンピューターゲームらしいです)発売にあたって、発売記念本にて、創土社の書籍を紹介したいという申し出をいただきまして、資料をお渡ししました。本ではありませんけど、どういう形であれゲームブック復活に尽力する方がいろいろな業界で頑張っているのは嬉しいことであり、できる限りの相互援助はするべきだと思います。

しかし、出版社にはカラーというものがあり(中国年鑑とゲームノベル両立する私が言うのもなんですが)、創土社の出すゲームノベルに青年指定モノはいらないので、うちへの応募作でそういう要素をウリにしても、残念ながら入選しません。

可愛い女の子を前面に出すのは別に構いませんが、創土社から出すゲームブックでそれをやるなら、大前提として本としての面白さ、ゲームブックとしての面白さを備えていればの話です。文章の大部分を会話「」でしめられた作品は、まあ、99%ダメです。情景描写力がまったく鍛えられていないから会話でごまかすケースがほとんどです。

応募作に双方向ダンジョン探索型が多いのはいかに鈴木直人の影響力が偉大であったかの証明でしょう。しかし、当たり前ですが、全くの模倣で同じタイプを選択したならば、ドルアーガブラックオニキスと同等かそれ以上のクオリティがなければいけません。模倣するなとは言いませんが、模倣に終始した作品はちょっと辛目の採点になります。

7人に1人というと、割と広き門のようにも映るかもしれませんが、それはたまたまです。ゲームブックを書こうと人たちは例外なく努力家で勤勉です。入選しなかった6人の方もそれは間違いありません。それほどゲームブックを創るというのは大変な作業です。しかし、努力だけでは面白いゲームブックは書けない。プログラミング技術が必要なわけでなし、文芸ジャンルとして、クリエイターさんが飛び込む敷居は高くはありませんが、完成品に要求されるクオリティの上限はかなり高い媒体なのです。応募100人に1人入選すればマシな方だと思って募集しています。

ゲームブックは基本的に子供向けということもあり、本として小説よりも下に見られることが多い。しかし、それは文芸ジャンルとして格が下というわけではありません。ゲームブックを書くということが、普通の小説を書くよりもずっと大変で、文章力、叙述力は当然のこと、小説家には要求されないそれ以外の特殊なセンスも要求され、その上に労力も数倍という、割が合わない仕事で、やりたがる人がいないからです。

面白いゲームブックを書ける人は構成力も持っているので、小説も面白く書けてしまうケースが多く、その方が作家にとっても金になる。ゲームブック作家たりうる人材は小説に流れてしまいがちなのです。私どもはそれを承知であえて、文章力のあるゲームブック作家を探しているのです。「文章にはちょっと自信がないが、ゲームは好きだからゲームブックは書けるだろう」こう考えてる人が入選するのは難しいと思ってください。

――かといって、文法が完璧かどうかとかを厳密にチェックしているわけではありません。ある程度こなれていれば、あとは編集サイドがサポートすればいいだけのこと。最低限の文章力は欲しいのですが、我こそは奇抜な発想力の持ち主という方は文章表現に自信がなくても、システムで勝負してみてください。