コミカル・フレーバー

 著者はコミカルな要素を四つに分類しています。
 前者二つが登場人物、後者二つが小道具になっています。

  • 自然突出型行動規範障害

 要約すると、愚かで周りに迷惑を撒き散らし、最後に自分で墓穴を掘る人物のことです。Mr.ビーンやオースティン・パワーズなどをがそれです。わかりやすく、観客にも被害が及ばないので憎めないやつと受け取られます。

  • 規範突出型行動規範障害

 妄想・執着に基づいていて、物事の取り違いをしても決して認めず、誇り高く破綻の結末に陥りながら、なお昨日と変わらぬライフスタイルを保つ人物です。ドンキホーテや役のチャップリンがそれです。観客は憐れみやいとおしさを禁じえません。

  • 自然突出型機能規範障害

 それがモノとしてただ自然にあるにもかかわらず、設備や道具が当然に期待される機能を果たさない小道具のことです。自動販売機にお金を入れて「いらっしゃいませ」と声が出たまではいいが、商品が出てこない、返金もできない、こんな状態のばかばかしさです。単品の大事件よりも、小物のトラブルを次々と畳みかけて使うのがコツです。

  • 規範突出型機能規範障害

 設備や道具が当然に期待される以上の機能を果たして暴走してしまうばかばかしさです。一度足らず何度も同じパターンをとめどなく連続して、もしくはまったく忘れたころにおよそ場違いなところで繰り返してしまい、いっそう笑いを盛り上げます。これを天丼といいます。笑福亭鶴瓶氏の私落語「青木先生」がそのようなサゲでした。*1
 必ずしもゲームブックに笑いが必要でないと思いますが、入れるのであればこの四つの分類は参考になります。
 これからはゲームブックに直接関係ありませんが、面白いと思ったところを抜書きします。