必笑小咄のテクニック 米原万里

 小咄から笑いの構造を探る一冊です。
 目次は次のようになっています。

1.詐欺の手口
2.悲劇喜劇も紙一重
3.動物と子どもには勝てない
4.お株を奪って反撃
5.木を見せてから森を見せる
6.神様は三がお好き
7.誇張と矮小化
8.絶体絶命の効用
9.言わぬが花
10.悪魔は細部に宿る
11.権威は笑いの放牧場
12.耳を傾かせてこその小咄

 このうち1〜11章が笑いの分類です。
 よくできた小咄は詐欺の手口に似ていると書かれた1章、ズームイン→ズームアウトの落差で笑いを誘う5章、A→Bの流れから外したCをもってくる6章、細部をいじって全体を歪ませたり転覆させる10章など、章ごとに小咄が分類されています。
 話は変わりますが政冶を話題にしている部分があり、それがジョークにしてもちょっと冗長だな、と思うところがありました。
 なぜだろうと思っていたのですが、あとがきに作者がかつて大病を患ったことが書かれてありまして、どうにもやりきれない気分になりました。うーん、笑えないなぁ……。