私がはじめてゲームブックに触れたのは中学二年のときだった。
「運命の森」という作品だった。
 これにはじめて触れたときのことを思い出してみる。

 友人が筆記用具とサイコロを抱えて本を読んでいた。
 それは奇妙な光景だった。
 本でゲームができると聞いた。
「まさか、そんなことありえない」と私は思った。
 ルールを教えてもらい、ページをめくると魔法使いが現れた。
 魔法の道具を売っていた。
 どの魔法の道具を買うか頭をひねった。
 塔を出ると、「きみ」にしゃべりかけてくるカラスがいた。

 数パラグラフ読むだけで、私はイギリスファンタジーに引き込まれていた。
 作品が他人にどう受け止められるのか。
 面白い娯楽作品を作るには、このような調査が必要であると思う。
 今の子どもがゲームブックを読んだら、どんな風に受け止めるのだろう。
 そこにゲームブックの原点があるような気がする。