ブームはリスク

ブームに負けない経営--スタバ・ユニクロの轍を踏むな


 売れない時代にどう売るのか。経営者にとっては頭の痛い話だが、実は商品やサービスがヒットしたら、悩みはもっと大きくなる。

 今日の大成功が、明日には業績を脅かす最大の要因に変わる。ブームの反動に立ちつくす企業が、近年増えている。この1〜2年で見ても、スターバックスコーヒージャパンユニクロを展開するファーストリテーリングなどがその罠にはまった。

 スターバックスコーヒージャパンは、20代女性という情報感度の高い顧客を当初からつかんだものの、その顧客層に継続的に来店しようという気持ちを起こさせ、あるいは他の顧客層にまでブランドの価値を伝えて取り組むのに失敗した。

 そのことに早く気づいて、大量出店から商品構成の充実や既存店のサービス改善に経営の方針を転換すべきだったにもかかわらず、株式上場などの中でその決断が大幅に遅れた。

 ファーストリテーリングの柳井正会長は「ブームになろうがなるまいが、人々が求める商品を、欠品を起こさずに市場に供給するのがユニクロのビジネスモデル。ブームを抑えるとか売り惜しみするという発想は、そのモデルの中にはない」と明言する。

 だが、当事者がそれを意図していたかどうかにかかわらずブームは突然やってくる。急激なブームとその反動は、企業にとって最大のリスクの1つだ。

 「新商品をゆっくり育てたい」という企業の思惑はもはや通じず、常にブームとして蕩尽される危険性にさらされる。だから、ブームという消費の変動リスクをうまくコントロールする力を身につける必要がある。本誌は、コントロールのやり方として3つの戦略を考えた。

 ブームを「リスク」と正面から捉え、市場に密着してリスク管理を徹底するヒット・エンド・ラン(勝ち逃げ)戦略。玩具のバンダイとアパレルのオンリーがこの手法を活用している。

 バンダイは、子供向け玩具という流行りすたりの激しい商品を扱いながら、販売最前線での欠品や在庫リスクを専門組織の素早い情報収集力で最小限に抑える。オンリーは、撤退コストを最小に抑えた業態を次々と開発しては投入してきた。

 一方、生産工場を持つメーカーに多いのが、1つのブランドや事業の傘下に異なる商品サイクルや顧客を持つ商品を複数抱え、機動的な生産体制を築くこと。1つひとつの商品の需要変動が経営に与える影響を最小限に抑える「リスク分散」戦略だ。子供向けアパレル大手の三起商行大阪府八尾市、木村皓一社長)と、デジカメ大手のオリンパス光学工業がその例である。

 三起商行の持つ長寿ブランド「ミキハウス」。イメージダウンの危機に何度も直面しながら生きながらえたその秘密は「売れすぎる商品は持たない」こと。技術と商品の陳腐化が急激なスピードで進むデジタルカメラの分野で、半年以上価格が崩れずに売れ続け、同社のデジカメ事業の黒字転換の原動力となったオリンパスの快ヒット「C-2 Zoom」に隠された中国での「モノ作り革命」の秘密を明らかにした。

 3つめの戦略は、ブームで先行する企業の抱える構造的な弱点を分析し、立地や対象顧客を微妙にずらすことでそのブームを利用する「ブーム横取り型」戦略である。この代表的な企業は、ハンバーガーや定食屋といった外食の流行に合わせて“本家”のお株を奪う業態を開発して競り勝ってきたフレッシュネスバーガー(東京都渋谷区、栗原幹雄社長)だ。

●さらに詳しい内容が 日経ビジネス2月3日号 でご覧いただけます。

http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/biz/229176

 ゲームブックの衰退の理由のひとつはブームが起きたからともいえそうだ。
 出版流通の問題から言って、欠品を出さないことは無理といえる。
 この弱点は、ネット流通でカバーするしかない。
 焼け石に水だがと思うが…。

 ブームの終焉によって以前より荒廃してしまったということがないように、ゆっくりとゲームブック界が育っていくと嬉しい。