このごろ私は物語の研究をしている。

 面白い物語に共通することは「逃げられないこと」と「感情移入」ではないだろうかと睨んでいる。(もちろんまだ他にもある)
「感情移入」を引き起こすには、先ほど書いた「こうなって欲しい」「これは避けたい」「謎を知りたい」と読者が思うことを、主人公に行動させればよいのではないかと思っている。(感情移入の要素は他にもあるだろう)
 創土社から出版された「展覧会の絵」や「送り雛は瑠璃色の」を考えてみよう。
 これらのゲームブックは、選択肢は思ったより少ない。
 しかし「逃げられない」状況の中で、主人公の行動によって「謎が解き明かされる」という仕組みがあるために、物語としての評判が高い作品なのだ。
 なお、作品のクライマックスが読者の予想を超えるものであれば、ますます感動を引き起こす。
 このニ作品にはそれが備わっている。
 書店で見かけたら、ぜひ手にとって欲しい。