冒険記録紙

 さて、この「ユーザーデータ」の視点から、ゲームブックをとらえなおしてみよう。
 ゲームブックにおけるユーザーデータとは、冒険記録紙である。
 ファイティングファンタジーシリーズ(以下FFと略す)を考えてみよう。
 FFの多く(とくにイアン・リビングストン作品)はシステムが不変であり、冒険記録紙を使いまわすことができた。
 推奨されているわけではないが、一人の冒険者が多くの冒険に関わることが可能である。
 つまり、ユーザーデータを移動することができたわけだ。
 これは、FFの潜在的な面白さのひとつではないだろうか。
 FF作品のなかには追加ルールを設定したり、物語性を高めたりした作品もあり、それはそれで楽しい。
 それはそれで尊重するが、あえてシステムを変えないことによって、ユーザーデータの移動を可能とすることに注目してみたいと思う。