カイヨワの遊びの四分類

 社会学者のロジェ・カイヨワは遊びを四つに分類した。もともとはこの分類を使って人間社会を表現していたらしい。今ではもっぱらゲーム論などに引用されている。

アゴーン(競争)→スポーツなど
アレア(運)
ミミクリ(模倣)→真似
イリンクス(めまい)→陶酔も含まれる

 今までこれを取り上げなかったのは、一つのツールとしか認識していなかったからである。たまたま使わなかっただけに過ぎない。(あと、原典が難しいらしいので読みたくなかった)
「知の編集術」を読んでいたら、ちょっと面白い文章があったので紹介する。

カイヨワはさらに、この四分類される遊びの背景には、どんな遊びにも共通する「パイディア」と「ルドゥス」というものが付きまとうのではないかと分析した。
パイディアはその場に臨んで興奮に入る状態のことを、ルドゥスとはわざわざ困難に立ち向かう忘我の意識の状態のことをいう。パイディア的になることもルドゥス的になることも、そこには利益を越えるものがある。無償でもかまわないという気分になってしまうのである。この無償性が重要である。
遊びがこうしたパイディア性(興奮)とルドゥス性(困難)をもっていることは、遊びが欲得ずくではなく広まっていく本質をもっていることを示すとともに、ついつい欲得ずくになる大人たちの遊びからは遊びの本質が薄れていったことを説明する。

「興奮」と「困難」が遊びの背景にあり、この二つによって無償の意識が引き起こされるというのが興味深い。「無償」というと愛とか善とかいう話になっていきがちだった。しかしそういう崇高な理念でなくても、遊びの部分で十分説明ができるわけだ。
 2ちゃんねるのゴミ拾いオフなどが当てはまるのではないだろうか。2ちゃんねるのオフ会は、どんなことであれ基本的に遊びなのだろう。