悲劇

 感情移入はカタルシスを楽しむために存在するのだろう。ゲームブックで悲劇といえばギリシャ神話三部作を思い出す。あとは……なかなか思い出せないな。悲劇をテーマにしたゲームブックが少ないのは、ゲームなので達成感のほうを優先するからなのだろうか。あと根本的に、物語とゲームブックの楽しみに違いがあるのだろう。それでももう少し開発されてもいいような気がする。
 ゲームブックはある意味、サドンデスが悲劇を成立させ難くしているような気がする。悲劇は遅効性の毒なのだ。
 かつてスティーブ・ジャクソンの「地獄の館」のなかに、凶悪な仕掛けが存在した。それは迷い込んでもすぐには死なないが、確実にデッドエンドになるパターンの存在である。これに手を加えて、「ロミオとジュリエット」パターンを混ぜてみれば、新たな「悲劇」パターンのゲームブックができると思う。これはこれでうまくいきそうな気がする。
 主人公は修道士ロレンスか、ロミオの友人ベンヴォリオにあたる人物がいいだろう。パリスだったら、悲劇を通り越して喜劇になるな。