批評理論入門

 中公新書 廣野由美子著
 読んで面白く感じたので、紹介しようと思っていたのだが、どう感想を書くのか迷っているうちに一ヶ月経ってしまった。
 この本はフランケンシュタインを題材にした解説書である。
 小説技法篇と批評理論篇の、二部構成である。
 小説理論篇は、物語論辞典*1をコンパクトにまとめたような印象を受けた。
 雰囲気をわかってもらうために、内容の一部を引用する。ストーリーとプロットの違いが書いてある。

ストーリーとは、出来事を、起こった「時間順」に並べた物語内容である。他方、プロットとは、物語が語られる順に出来事を再編成したものを指す。

 物語論辞典などをもっていないが、興味がある方は手にとってみてもいいかもしれない。
 批評理論篇は、フランケンシュタインが過去にどのように批評を受けていたか、記したものである。
 フランケンシュタインが書かれて100年以上経っている。
 怪物が何か、生命創造はどう見るかといったことや、著者や書かれた時代を掘り下げるものもある。
 進歩的な批評は、時代を経ると色あせてしまう。まるで更新していないサイトの文章を読んでいるような気がする。