ゲームブックの読者をTRPGにとられたことが、ゲームブックが衰退した理由だという主張が存在する。

 この主張を上記の例で説明すると、横軸にあたるTRPGにファンを取られてしまったということになる。
 ゲームブック初の月刊雑誌「ウォーロック」には、TRPGの記事が掲載されていた。
 最初から読者をTRPGに導こうという意思があったといっていいだろう。
 ゲームブックからTRPGへ興味が移った人もいたと思われる。
 もしもゲームブックをもっと大事に発展させるのであれば、読者がゲームブックを読むことによって、ゲームブックから他のゲームブックに興味を持たせるようにするべきである。いや、するべきであった。
 これは傍目からすると、後ろ向きの主張に見えることは自覚している。
 閃光は、ゲームブックだけ世界が閉じていればいいと主張しているのだ、なんて誤解されそうである。
 ただ当時のゲームブックが、あまりにも作家のネーム・バリューに頼りすぎていたことは確かだと思うのだ。
 作家のネーム・バリューは、上記の例でいうと縦軸にあたる。
 縦軸だけ強くても、横から強い力が加わると井桁崩しになってしまう。
 横軸が強いということは、ゲームブックの興味が別のゲームブックに移るということだ。