出発するきっかけについて

米光  例えば、あれをそのままアニメにしたりすると面白くないんですかね?
ササキ 面白くなさそうですねぇ。ドラマにする際にキャラクターの配置と意味を考えると、どうしてもあの配置じゃ弱いと思うんですよ。主人公に目的意識を与えるキャラクターがいなくて、「妹がさらわれた」という事件しかないんですよ。
ササキ それで話を引っ張っているシステムなんで、その部分が非常つかみが弱いんですよ。
米光  『未来少年コナン』もラナがさらわれるだけじゃないですか。
ササキ 『コナン』は、おじいがいて「お前は島を出るのだ」と言われるでしょう。
米光  なるほど。上手いなぁ(笑)
ササキ ラナというのは「のこされ島」とは違う、向こうの世界の象徴でしょう。そこに女の子をダブらせているから。妹というのは元々居たキャラクターだし、もっと主人公にモチベーションを与えるキャラクターが必要なんです。だから、お婆さんには期待していたんだけど。年寄りって子供にそういうこと言ってやる役目はありますよね。
あさり もしくは、妹がさらわれたっていうので力技で助けに行こうとして、結局失敗して帰ってきたら、最初の島の住民が皆殺しになってる。そこまでやれば、島を捨てて出て行かざるを得ない(笑)

 あさりよしとおの島民皆殺しの話は、ハリウッド流の演出といえる。
 退路を断って、無理やり主人公を出発させる手法だ。(スターウォーズなど)
 あとササキバラ・ゴウの言う通り、誰かに行き先を示してもらうというやり方は、ゲーム向きの手法といえる。
(まぁ皆殺しについてはシャレなので、下手な解説をしても下衆なだけだが)