物語の中の真実

人間の心には無意識の領域がある。無意識の中に英知とか真実が眠っている。
無意識に眠る潜在能力を、有効で意識的なエネルギーに変換することによって、自分を高めることが出来る。
無意識の中に隠された知識を意識の中に取り込む役割を担っているのが、名作物語や夢である。
名作物語や夢は、視覚的なメタファー(比喩)である。視覚的なメタファーは、理解しやすい形であるといえる。(以上閃光による編集)

 名作物語や夢の中には、人間にとって有効な知恵が、後生に理解されやすい形で残されている。

物語の中に隠されている真実が多ければ多いほど、物語そのものはより魅力的なものに仕上がる。また物語が私たちの実生活と関わりがあるほど、その物語は私たちの記憶に残る。自分の中で大事にはぐくんで、子供の代へと受け継いでいく。(以上引用)

 物語の中から真実を見つけ出すことは、たいへんな魅力である。
「無意識の中の真実」を他の言葉で表わすとしたら、「テーマ」が一番近いような気がする。新しい物語を書くとしたら、まずテーマを練りこむ必要がある。

名作物語を分析していくと、特定のパターンが見えてくる。そのパターンをアーキタイプ(典型)という。
アーキタイプは無意識とメタファーを仲介する役目を果たしている。アーキタイプは、(中略)簡単な見取り図だ。
ユングやキャンベルが成し遂げたすばらしい発見は、神話と夢と原始的部族の儀式の中に特定の同一パターンを見いだしたことであろう。(以上引用と抜粋)

 名作物語を分析していたら、アーキタイプを発見した。この発見により、物語を通して昔からの知恵が現代にも受け継がれているということがわかった。
 逆にあるメッセージを伝えたいために、アーキタイプに従って物語を作っていけば、多くの人に受け入れられやすい物語を作ることが出来るだろう。現にアメリカでは、小説や映画の脚本をそういう方法で作っている。
 すばらしい。多くの人に受け入れられる物語を量産することが出来るだろう。
 しかし現状では、ハリウッドで慢性的な脚本不足が問題になっている。これはどういうことなのだろうか。
 いくつかあるだろう答えの中に、アーキタイプに頼りすぎて、アイデアを練っていないことが挙げられると思う。
 アーキタイプは、成立していく過程で多くの物を切り捨てた。アーキタイプは優秀な設計図であるが、平凡なアイデアをくっつけても一応物語になってしまうが故に、ありきたりで練りきれていない物語が出来てしまう。