ゲームの定義

 遊学Ⅱ(遊学2)より

ゲームとはなにか。二人以上の者が相互に許可した一個のシステム(構造)を、一定の上限と下限をもった思考(あるいは活動)によって吟味しつくすことである。システムと思考の相互規制様式にゲームの本質がある。このことをひっくりかえし、「システムの思考」ないしは「思考のシステム」にゲームを見出すことは可能だろうか。カイヨワやサイファーの認識評論、中井正一や『総和と余剰』のルファーブルの美学、ボルヘスやオリエの構造小説、入沢康夫や岩成達也の詩形学、これらはそのような「ゲームを隠すゲーム」のすぐれた例である。それらにおいては「システムの思考」と「思考のシステム」がいつもすれすれのシフトを交換しあっている。

 コスティキャンのゲーム論(http://www004.upp.so-net.ne.jp/babahide/library/design_j.html)とはまた違ったゲームの定義だ。ゲームのプレイヤーの思考を表現した、良質の定義だと思う。
「ゲームであることが隠された」マンガとなると、いくつか思い当たる。たとえばハンター×ハンターだ。これはグリードアイランドとかのゲーム世界を抜きにしても、十分当てはまる。念能力が登場してから、ゲーム的な要素があらわれてきた。念能力の設定(システム)と、念能力をどうやって生かすか、あるいは対戦相手の念能力をどうやって発揮させないかというかけひき(思考)が、「システムと思考の相互規制様式」といえるのだろう。