心残り

 以前苦しさ(わだかまり)がないと、繰り返し遊んでもらえないのではないか、と書いた*1。しかし苦しさというよりも、どちらかというとわだかまりのほうがより比重が大きいと思う。もっと正確に書くならば、「心残り」ではないだろうか。
 以前亡霊*2について書いたことがあるが、無念に思う亡霊の気持ちが能の曲目として表現されており、観客の哀れみを誘っている。
 この他にも、報われないことに対するやるせなさや、大切な人との別れ、はかなさやせつなさなどに加えて、謎や証明不足などさまざまな「心残り」があると、受け手は作品にすんなり入っていけるような気がする。
 こういった「負」の要素を研究するのも面白そうだ。そもそも「魔法昔話*3」の導入部は欲求と欠乏(不利益)、この二つのどちらかである。