ブームはどう始まり どう終わるのか

 中川右介著 岩波アクティブ新書

 クラシックカメラブームに立ち会った著者が、カメラ雑誌を創刊し、廃刊するまでの経験を基に、ブームの始まりと終わりを考察した一冊。
 デパートで行われた中古カメラ市に、最初は嬉々として参加していたお客が、やがて欲しい物がなくなり、顔を出さなくなっていく過程を書き、「ささいなことの積み重ねがブームを終わらせる」としめている。
 メディアに取り上げられることによって、ファンが増えるのではなく、業者が増えるという指摘が興味深い。新規参入が増えることによって、市場の飽和が加速していく。
 また新参者が増えることによって、売り手の態度が変化し、昔からのファンが離れていくことがある、と書いてある。特にこの説は著者の経験に基づくものであり、説得力がある。(あとでもう一度記述する)
 あともう一つ。売り上げの減少は、ブームが終焉に向かい始めたシグナルであり、減少の理由を考えても仕方ない、ブームの絶頂期なら、何があっても売れていたはず、と書いている。クラシックカメラの復刻は、情熱を持ったファンを冷静にさせてしまったようである。